間違いだらけの企業ホームページ制作
Part1【コンセプト編】
企業ホームページの正しい制作プロセスの考察


〜なぜ企業ホームページはつまらないのか?〜


「企業ホームページはつまらない」というセリフはけっこう耳にすることがあります。 でもなぜこう言われてしまうことが多いのでしょうか?
この講義でそのへんのところを探りながら、企業ホームページの在り方について考えていきましょう。



企業のホームページ制作に当たって、まず考えなければならないことは、ホームページの「存在価値」「存在意義」を明らかにすることにあります。

これはどの企業ホームページの場合でも言えることですが、企業がホームページを作る場合『(企業名)ホームページ』という名称で、製品やサービスの紹介や、企業紹介などの「インターネット版会社案内+製品(サービス)カタログ」的なページを作ってしまうのが一般的です。
そして、果たしてそれが、その企業のホームページ制作の目的に対して正しいアプローチであるかどうかについての検証はなされていないケースがほとんどではないでしょうか。

ホームページを制作する場合には「まず目的を明確に」ということは割りとよく言われることです。
さすがに企業のホームページ制作の場合には目的を考えずにページをつくるところはあまりないでしょう。しかし、「目的を考えてはいる」といっても、実際にはキチンと考えられておらず、漠然と「情報を発信(提供)する」「顧客サービスの一環として」「企業イメージの向上を図る」などというあやふやな目的(らしきもの)しか設定されていないところがけっこう多いのではないでしょうか。

ここでひとつ例をあげて説明しましょう。
以下の2つのホームページ、
あなたが作ろうとしているホームページはどちらでしょうか?
そしてあなたが一個人としてアクセスしたいページはどちらでしょうか?

ABCデンキホームページ
関東圏の総合家電販売チェーン『ABCデンキ』のホームページ。お近くのショップ紹介から新店紹介、新製品の紹介、おとくなメンバーズカードのご案内をはじめ、家電製品のいろいろな使い方など幅広い情報が満載のページです。
電気製品購入のマル得ワザ教えます!
ABCデンキがおおくりする、電気製品をかしこい購入方法〜使い方〜買い替え方までのアドバイスページ。スタッフによる主要家電製品の徹底比較コーナーも超ベンリです。電気製品購入前にはぜひチェックしよう!!

いかがですか?

同じ企業のホームページでも、そのアプローチの方法によって、まったくちがった顔を持ってしまいます。
単にエリアという一側面から比較するだけでも、前者の場合はまずABCデンキの商圏以外に住んでいる人にとっては、ほとんど意味のないホームページとなり、後者の場合には、商圏うんぬん関係なしにアクセス者を獲得できる可能性を持ったページとなるのです。さらにはこのアプローチの違いによって、アクセスした人がその企業に対して持つイメージは全く異なってしまうことにもなるのです。

どちらがいいとかいうことではありません。ここで大切なことは「ホームページの目的が何なのか」ということです。目的を明確にするというプロセスの中には、ターゲットの設定についても「漠然として」ではなく、はっきりと検討されなければならない、ということです。さらには「ターゲット設定」以外にもまだまだ検討しなければならないことは山ほど残っています。
そして、このこと(つまりホームページを媒介としたマーケティングコミュニケーション活動の目的を明確にすること)が企業ホームページ制作プロセスにおける第一の重要なポイントなのです。

特に期間限定のホームページではなく、いわゆる企業の「顔」として、ずっと展開していかなければならないホームページの場合に、この段階をテキトーにして、「とりあえず作る」的な考え方でホームページをつくってしまうと、そこらへんにあるような『一度はアクセスしても、もう2度とアクセスしようとは思わない』ごくつまらない、企業ホームページになってしまうケースが多いのは当然の結果と言えるでしょう。



もうひとつのポイントは「視点の持ち方」にあります。一般的にホームページを展開するということは「設定したターゲット層にアクセスしてもらいたい」という、ごく当たり前のことを期待することを意味します。
すなわち、期待した効果を発生させるためには、ターゲット層が自社のホームページに関心を持たせ、アクセスという行動をとらせるよう努力を払うことが必要条件となるのです。
ところが、実際のマーケティング活動において需要把握をベースとした「マーケット・イン」の姿勢でマケティング活動を行っている企業であっても、ことホームページ制作においては「プロダクト・アウト」的な思考、つまり自社がホームページでなにを言いたいのか、という観点からのみホームページを制作してしまう場合が多いのです。
言い換えれば「どんなホームページならアクセスしてくれるか」という考え方を持たずに「どんなホームページを作ろうか」という考え方のみでページを作ってしまう場合が多いということです。
そうです、これから制作しようとするホームページが、『誰にとって』『どんな意味(=アクセスする理由/動機)のある』ページなのか?を考えることの大切さに気づかない企業が多すぎるのです。
(あなたがホームページ制作を依頼しようとしているコンテンツプロバイダーは、そのことについてあなたに気付かせ、そして充分な検討をさせてくれる会社でしょうか?)

冒頭で、ホームページの「存在価値」や「存在意義」を考える必要性がある、と書きましたが、これはその企業にとっての「存在価値」や「存在意義」を考えるということだけではなく、アクセスする側にとってのそのホームページの「存在価値」や「存在意義」を考える、ということなのです。アクセスする人は、世界中にゴマンとあるホームページの中から、自分にとってアクセスしたいページを選択し、電話代や接続料を払ってアクセスするわけですから、自分にとってアクセス理由のないページを訪れるほど物好きな人はいません。

もはやホームページを持つ(展開する)ことがカンパニー・ロイヤリティーやステータスにつながるという時代は過去の話です。たとえ、つまらないホームページを制作してしまいマイナスイメージを持たれてしまうことさえあっても、「ホームページを持っている」ということだけで単純にその企業を評価してくれる人はほとんどいないのです。

それゆえに、ホームページを安直な姿勢でつくってしまうのではなく、コンセプトメイクを充分にして、存在意味のある、「設定したターゲットがブックマークを付けてリピートアクセスしてくれるような」ホームページをつくるよう努力することが、これからの企業ホームページ制作の課題なのです。


最後に、蛇足ではありますが、「存在価値」のある、いい企業ホームページを制作するには、相応の能力を持ったパートナーを選ぶことと、そのパートナーが充分に能力を発揮できるような「いいリレーション」をつくっていくことが必要であることを付け加えておきます。

ホームページを作ることはカンタンです。今や中学生にだってできる作業です。もちろん、クライアント企業の考えたホームページを単に形にするだけのコンテンツプロバイダーは巷にあふれています。しかし本当に意味のある企業ホームページをつくれる制作者はかなり少ないのが現状です。コンセプト構築の重要性に気付いていない、もしくは構築するスキルを持っていない、ただのページ制作請負会社が大半なのです。
そして「企業のホームページはつまらない」と言わる理由は、これらの制作者が大半であることを顕著に物語っているのではないでしょうか。

(March 6, 1997)



なお、tao研究員が『法人Web & CI』のページでCI(コーポレイト・アイデンティティー)という切り口から企業ホームページを研究していますので、ぜひそちらもご覧ください。(必読です!)


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